ESの受け身表現を主体的な言い回しに変える言い換えの練習

ESが通りにくい原因の一つは、受け身や曖昧な動詞が主体性を消してしまうことです。「〜させていただきました」「〜に参加しました」といった表現を、自分が何を判断・行動したかが伝わる動詞に置き換えるだけで、文章の印象は大きく変わります。この記事では言い換えの手順と練習問題を紹介します。
この記事の目次
受け身表現がESを弱くする理由
ESで自分の経験を書くとき、つい「〜に選ばれました」「〜を任されました」「〜に参加しました」という形になりやすいです。これらは事実を伝えてはいますが、読み手には「状況に流されていた人」という印象を与えることがあります。
採用書類で問われているのは、あなたが何を考え、どう動き、何をもたらしたかです。受け身の動詞はその「考え・判断・行動」の部分を文から削り取ってしまいます。たとえば「リーダーに選ばれました」という一文は、その後に何が起きたかを語っていません。同じ経験でも動詞を替えるだけで、文が持つ情報量は変わります。
受け身表現が増える原因はいくつかあります。謙遜から自分を主語にしづらい、「何をしたか」より「何があったか」という順番で記憶を書き起こしている、などがその一例です。まず原因に気づくと、言い換えの方向が見えやすくなります。
よくある平板な表現のパターン
言い換えが必要な表現には、大きく三つのパターンがあります。
- 受け身の動詞:「〜させてもらいました」「〜に選ばれました」「〜を任されました」
- 行動が見えない名詞止め・サ変動詞:「活動をしました」「貢献しました」「改善しました」(何を、どう、は不明)
- 曖昧な程度副詞+一般動詞:「積極的に取り組みました」「主体的に行動しました」(具体的な行動が書かれていない)
特に三つ目は注意が必要です。「主体的に行動しました」という文は、主体性を言葉で主張しているだけで、実際に何をしたかが書かれていません。主体性は「私は〇〇と判断し、〇〇した」という構造で示すものです。
言い換えの手順:動詞を特定して置き換える
言い換えは、次の三つの問いに答えながら進めると整理しやすいです。
- あなたは何を判断・決定しましたか?(例:「続けようと決めた」「提案することにした」)
- その判断をもとに、具体的に何をしましたか?(例:「練習メニューを組み直した」「先生に交渉した」)
- その行動の結果、何が変わりましたか?(例:「平均点が5点上がった」「参加者が10人増えた」)
三つ目の結果は数字で書けるときは数字を使うと伝わりやすいですが、数字にできないときは「〇〇という変化が生まれた」「〇〇が以前より円滑になった」など、変化の内容を言葉で示すこともできます。
書き換え前後の比較:文例
以下は架空の例です。同じ経験をもとに書いた文章を、言い換えの手順に沿って書き直しています。
【文例A:書き換え前】 サークルの企画運営に参加しました。メンバーと協力して活動し、イベントは成功しました。 【文例A:書き換え後】 参加者が減っていた月例イベントの形式を見直そうと提案し、開催時間と告知方法を変更しました。その結果、次回の参加者数が前回の1.5倍になりました。 ▶ 変えたポイント:「参加しました」→「提案し、変更しました」(判断と行動を動詞に)。「成功しました」→「参加者数が前回の1.5倍になりました」(結果を具体的に)。
【文例B:書き換え前】 ゼミで班のリーダーを任されました。積極的にメンバーをまとめました。 【文例B:書き換え後】 ゼミ班のリーダーとして、議論が停滞したときは論点を整理してホワイトボードに書き出し、各自の意見を可視化することで話し合いを前に進める役割を担いました。 ▶ 変えたポイント:「任されました」は事実として残しつつ、何をしたかを動詞で追加。「まとめました」→「書き出し、可視化することで進めた」(行動の中身を具体化)。
独自の練習問題:受け身文を書き換えてみる
以下は独自の練習問題です。受け身・平板な文を主体的な表現に書き換えてみてください。解答例は一例であり、唯一の正解ではありません。
【練習問題】次の文を言い換えてください。 問1:「アルバイトでホール担当に選ばれ、お客様対応を行いました。」 問2:「部活でキャプテンを任されました。チームのために頑張りました。」
【解答例:問1】 「新人スタッフへの引き継ぎが口頭だけで不十分だと気づき、対応手順をメモにまとめて共有する仕組みをつくりました。」 ▶ 「選ばれ」という受け身をカットし、その立場で「何を問題と判断し、何をつくったか」に書き換えています。
【解答例:問2】 「練習への参加率が下がっていることに気づき、個別に話を聞く機会を設けました。その結果、練習時間外の関係が深まり、月の欠席者数が半分以下になりました。」 ▶ 「頑張りました」という曖昧な動詞を、「話を聞く機会を設けた」という具体的な行動に変えています。結果も数字で示しています。
書き換えを習慣にする次の一歩
言い換えのコツは、文章を書いてから動詞だけを拾い出して確認する習慣をつけることです。書き終えたESの各文の動詞に下線を引き、「この動詞は自分の判断や行動を表しているか」と問いかけてみてください。
曖昧な動詞や受け身の動詞が見つかったら、先ほどの三つの問い(判断・行動・変化)に答えながら置き換えます。一度に全文を直す必要はなく、まず一番弱いと感じる動詞一つから始めるのが続けやすい進め方の一例です。
書き換えた文は声に出して読んでみるとよいです。読んだときに「自分がこの行動をした場面」が浮かぶかどうかが、表現が具体的かどうかの一つの目安になります。
Claude Sonnetを用いて本文を作成し、AIによる校正と編集確認を行っています。文例・練習問題は解説用に作成したものです。


