離職率・平均勤続年数を公開情報から調べる方法と数字の読み方

離職率や平均勤続年数は、企業の公式サイト・有価証券報告書・厚生労働省の公開集計など複数の場所で確認できます。ただし数字だけを見て「高い・低い」と判断すると誤解を招くことがあります。入手先ごとの特性を理解しながら、数字の背景を一緒に読むことが大切です。
この記事の目次
離職率・勤続年数を調べられる主な公開情報源
まず「どこで調べるか」を整理しておきましょう。入手先によって、記載されている定義や集計範囲が異なるため、複数の情報源をあわせて確認するのが一つの目安です。
- 有価証券報告書(上場企業):「従業員の状況」欄に平均勤続年数・平均年齢・従業員数が記載されています。金融庁のEDINETで無料閲覧できます。
- 就職四季報(東洋経済新報社):3年後離職率・平均勤続年数などのデータをまとめた参考書籍です。書店や図書館で確認できます。
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」:産業ごとに新卒入社後の離職率の傾向を集計した公開資料です。個別企業ではなく産業全体の目安として使えます。
- 企業の採用・統合報告書・サステナビリティレポート:任意開示のため掲載内容や定義は企業によって異なります。
- 求人票や採用ページ:一部の企業が自主的に離職率や定着率を記載していることがあります。
数字の意味と読み方——高い・低いだけで判断しない
離職率や勤続年数は「良い会社か悪い会社か」を一発で示す数字ではありません。それぞれの数字が何を示しているかを理解したうえで、背景と組みあわせて読むことが大切です。
平均勤続年数は、現在在籍している社員の平均在籍期間です。採用を最近大きく増やした企業では、若い社員が多くなるため数値が下がりやすくなります。逆に採用を長年抑えてきた企業では、高齢・長期在籍の社員が多く数値が上がります。どちらの理由で数値が変わっているかを、従業員数の推移と並べて見るとより把握しやすくなります。
離職率には「新卒3年後離職率」「全体離職率」などいくつかの種類があります。同じ「離職率」という言葉でも集計期間や対象範囲が異なるため、どの定義で書かれているかを確認してから比較しましょう。
架空の例:有価証券報告書の「従業員の状況」を読む
以下は架空の例です。実際の企業情報ではありません。
【架空の例】A社の有価証券報告書「従業員の状況」 ・従業員数:連結3,200名、単体800名 ・平均年齢:単体38.4歳 ・平均勤続年数:単体12.3年 読み方の一例:平均勤続年数12.3年は一見長く見えます。ただし単体800名に対して連結3,200名と差があることから、グループ内に子会社が多いことが分かります。子会社への出向・転籍が多い場合、単体の勤続年数だけでは全体像が見えにくいことがあります。連結と単体の差が大きいときは、グループ構成も確認する一歩が参考になります。
このように、1つの数字だけでなく「従業員数の連結と単体の差」「平均年齢」「数年分の推移」をあわせて読むことで、数字の背景がより見えやすくなります。
ありがちな読み間違いとその修正
- 「勤続年数が短い=離職が多い」とは限りません。採用人数を近年大きく増やしている場合も平均値は下がります。採用人数の推移と並べて確認しましょう。
- 「離職率ゼロ」が理想とは限りません。定義や集計期間の都合で表示上ゼロになることもあります。期間と対象範囲を確認しましょう。
- 有価証券報告書の従業員数は「単体」と「連結」で大きく異なることがあります。どちらの数字かを確認してから読みましょう。
- 産業によって離職の傾向は異なります。異なる業種の企業を同じ基準だけで比較することには注意が必要です。
企業研究への組み込み方——次にやること
離職率・勤続年数は「他の情報と組みあわせて使う」のが実践的な使い方の一例です。単独で優劣を決める材料にするよりも、気になる数値があったときに「その理由を別の情報で確かめる」流れが参考になります。
- 有価証券報告書の「従業員の状況」で勤続年数と従業員数の推移を確認する
- 就職四季報で同業他社の3年後離職率と並べて比較する
- 厚生労働省の産業別集計で業種全体の傾向をおおよそつかむ
- 数値が気になる場合は、採用ページの社員インタビューや会社説明会で事業・組織の変化背景を確認する
数字は「入口」です。気になる数値を見つけたら「なぜそうなっているか」を他の情報と組みあわせて確かめていくと、企業研究の解像度が上がっていきます。
Claude Sonnetを用いて本文を作成し、AIによる校正と編集確認を行っています。文例・練習問題は解説用に作成したものです。


